嫌なことは嫌でいい

先日友人から「会えないかな?」と連絡がきました。

彼女とは小学生からの付き合いで、今はお互いに結婚して子育てをしているので、

なかなかゆっくりと会う機会はなく、久しぶりの連絡でした。

数日後、久しぶりにあった彼女は、少し疲れているようにも見えました。

「どうしたの?」と聞くと「うん・・・・・あのね・・・・・」と言葉を選んでいるような感じで、いつものハキハキとおしゃべりをする彼女のはなし方ではありません。

「どうしたのかな?」と思いながら聞いていると、しばらくして彼女は「3人目を妊娠したの」と言いました。

その顔は、とても辛そうで2人目までの妊娠報告とは全く違ったものでした。

「予定に無かったことなんだ・・仕事を始めようと思っていたのに・・主人は喜んでいるんだけど、仕事でほとんど家にいないし・・2人の子育てで精いっぱいで・・・お金のこともあるし、産むかどうか本気で迷ってる・・・」

と堰を切ったように話し始めました。

これまで彼女は、妊娠したのに喜ばない人や、子どもを産んで可愛がらない人を見るとすごく腹が立つし、母親として間違っていると批判していたそうです。それなのに今は自分が間違っていると言っていた人の気持ちがわかるし、でもそんな自分がダメだとも思うと話してくれました。

しばらく彼女の話を聞いてから私は、「ねえ、妊娠したこと嫌?」って聞きました。

「えっ!嫌じゃないけど・・・」「嫌なことはね嫌でいいんだよ。試しに、試しでいいから嫌って言ってみて」しばらくしてためらいながら彼女は「嫌・・・」といいました。

「嫌だね、嫌でいいよ」と私が言うと「うん・・・嫌、嫌なの、嫌」と言いながら大粒の涙を流し始めました。

実は「嫌」という気持ちは私たちの心の中で自然に湧きあがる感情です。ですから、嫌なことを「嫌じゃない」とか「嫌と思ってはいけない」と無理に抑え込もうとすると、反対に落ち込んだり、自分を責めたりするようになるのです。「嫌なことは嫌」と感じたり思ったりすると、嫌な気持ちが減ったり無くなったりして、元気が出てくるのです。

その日は、特に結論が出ないまま私は帰宅しました。

それから数日して彼女からメールが届きました。

そのメールは「まだ、沢山の不安があるけど、産むことに決めました」という内容でした。

産まれてくるまでにもう少し時間があります。

どんな赤ちゃんと出会えるのか、今からとても楽しみです。


こころのおはなしやさん

メンタルサポート研究所グループ こころのおはなしやさん 心理カウンセラー 栗原美香 公式サイト