「子どもにダメと言っていいの?」その①

  先日友人と話をしている時「子どもにダメと言っていいのかな・・・」と 
質問されました。「そうだね、してはいけない事、ダメなことはダメだからね、ダメと言うことが必要な時はあるよね」と答えると「そっかあ・・・」という返事が返ってきました。「どうかした?ダメということに何か引っかかる?」と聞くと「ダメって言うと、子どものことを否定しているように思うんだよね」といいました。もう少し詳しく聞いていくと、どうやら友人は子どもの頃、両親からよく「ダメ」と言われていたそうです。大きな声と強い口調で「ダメ」と言われるから怖いし、自分の存在そのものがダメな気がしていたそうです。だから子どもが生まれたらダメという言葉は絶対に使わないようにしようと思っていたと話してくれました。
  実は友人と同じようなことをお母さん達からよく聞くのです。
「なるべくダメという言葉を使わないでダメなことを伝えたい」「ダメっていうと子どもが傷つきますよね」「褒めてあげないといけないから、怒るのはやめようと思っているんだけどなかなか長続きしなくて。いつまでもふざけてやらないから最後はいつも怒ってしまうんです」などなど、同じようなことを仰います。
 お話を聞いていくと、友人のようにお母さん自身が子どもの頃「ダメ」と言われてきたことで「自分はダメだ」と親からのメッセージを自分の存在否定のように受け取り、心が傷ついたまま親になっていることが多いのです。だから自分が子どもを育てる時には子どもを傷つけないように育てたいと心に決めています。
 もしくは子育て本やメディアで「褒める」ことの大切さを見聞きして“子どもは褒めなければいけない、褒めないと伸びない”と強く思っているという場合も多く見られます。
 たしかに褒めることは大事ですし、子どもの存在を否定するような事があってはなりません。しかし「ダメなことはダメ」と教えてあげないと子どもは育ちません。私がよく出会うお母さんたち達は、褒める事=叱らない、ダメだと言ってはいけない、と思っている人が多いのです。考え方がごちゃ混ぜになっています。褒めることと、叱ること、ダメだと教える事は全く別なのです。どれが抜けても子どもは育ちません。
では、どのように考え、子どもに伝えていけばいいのでしょうか。そのことについては、次回引き続きコラムの中で考えていきたいと思います。

こころのおはなしやさん

メンタルサポート研究所グループ こころのおはなしやさん 心理カウンセラー 栗原美香 公式サイト