子どもの“できる力”を信じる

私には二人の娘がいます。長女が生まれた頃の私は、初めての子育てに気合十分、育児書を読みあさり、育児関係のテレビ放送が有ると知れば必ずチェックしていました。生まれたばかりの娘を抱っこしながら、この子の能力を最大限に伸ばすためにはどうしたら良いかということで頭がいっぱいでした。そしてそれが母親である私の役目であると思っていました。

 娘が2歳くらいの時、一緒にカウンセラーのお勉強をしていた方と子どもの話しになり「娘さん今が一番可愛い時でしょう?」と言われたことがあります。そう言われた私は言葉が出てこなくて「うーん・・・・・・」と考え込んでしまったのです。私はそんな自分にビックリしてしまいました。「娘のことは可愛いと思っているのにどうして可愛いと言えなかったのだろう・・・私は娘の何を見ているのだろう・・・」と自分の反応にひどくショックを受けたことがありました。

 今ならあの時になぜ「可愛いです」と言えなかったのかよくわかります。私は母親として“しなければならないこと”や“娘が出来るようにならなければいけないこと”で頭の中や気持ちがいっぱいで、“子どもの小さな成長”や“自分でやってみて出来たこと”を喜んでいなかったからです。そしてなによりも『子どもには自分でできる力がない』と思い込んでいたのでした。自分では出来ないから私が教えなければいけない!娘の人生は親の判断によって決まるから判断を誤ってはいけない!と本気で思っていました。だから子育てを楽しむなんていうことはできませんでした。

初めは産まれて来てくれただけで、おっぱいを飲んでくれただけで、笑顔をみられただけで本当に幸せな気持ちだったのに、だんだん「同じくらいのあの子はもう寝がえりをしているのに、うちの子はまだできていない」「はいはいをなかなかしないけど大丈夫かな?」「おむつがまだとれない」と子どもの出来ていないことばかりに目が行って、この子ができていないのは私の力が足りないと思うようになっていました。

でもそれは、私の子どもの持っている力についての大きな勘違いでした。確かに、産まれたばかりの頃はできることは限られています。でも、心と体が少しずつ成長して行くと子どもたちは自分で興味のあることをやってみようと試みます。やってみて失敗もしますが、それでも諦めないでやろうとします。その時私たち大人は「あなたならできるよ、やってごらん」そう言って、その子のできる力を信じ、待つことが最高の応援になるのだと思うようになってきました。その中で、できることやできないことがあると思います。

できた時は一緒に喜んで、できなかった時は「残念だったね悔しいね、でもよくやったね」そういって子どもと向き合い、子どもがどんな人生を自分で作って歩んでいくのか見ていたいなと思う今日この頃です。

こころのおはなしやさん

メンタルサポート研究所グループ こころのおはなしやさん 心理カウンセラー 栗原美香 公式サイト