大人にとってたいしたことないことでも・・・

先日娘が自分達だけで祖父母の家に泊まりに行きました。迎えに行った私は、親のいない時間を思いっきり満喫した娘達の顔を見て「楽しかったんだな、良かった」と思っていました。

その帰り道のことです。長女が「あっ、お花を忘れた」と言い出しました。どうやら昨日地域のお祭りに行って、花を活けるコーナーがありそこで活けた花を祖父母の家に忘れて来たということでした。既に祖父母の家を出てから30分くらい経っており、自宅までは更に2時間ほどかかります。夜だったので私は「そっかー、もう今日は取りに行けないね。お祭りでお花を活けたんだね、楽しそうだね」と、娘の気持ちをくみ取りながらも花を取りに戻るのは無理だと言うことを伝えました。すると娘は「でもね、次の時にはもうお花が枯れているかもしれない。今から取りに帰ったら?」と言います。「うーん・・・そうだ、お祖母ちゃんにお水を代えてもらって、次の時までお花を管理してもらおう。今日はもう夜だし無理だよ」と“生花なら次に行くまでもつかな?無理だろうな~”と思いながらも、とにかく娘に取りに行けないことを納得させるために話をしました。そしてお祖母ちゃんにも電話をして花の管理をお願いして、なんとか取りに行けないことは納得したかな、という雰囲気になったのでその話は終わりました。

すると少しして突然「うっ・・うっ・・・・」という娘の泣き声が聞こえてきました。

「どうした?え?何かあった?」と聞くと「お花が・・・お花が・・・」と泣きながら言っています。私は“しまった!納得していなかったんだ”と思いながら「お花?」と聞くと「うん、お花を取りに行けないのが嫌」と言います。「そっか、お花取りに行けないの嫌だね、嫌だったんだね、ごめんね、そうだったんだね、取りに行きたかったんだね」というと「お母さんに見せたかった・・・」とぽつり。

 まさか、まさか、私に見せたかったからあんなに取りに戻ろうと言っていたとは・・・

「ごめん!本当にごめん!お母さんに見せたかったんだ・・・ごめんね、ホントに」私はしばらくその言葉しか出てきませんでした。

実は先ほどの「取りに行く」「行けない」と話をしていた時私は“そんなにお花を活けるのが楽しかったなら、また花を買って家で活けたらいいじゃない”くらいにしか思っておらず、まさか私に見せたくてお祭りで活けた花にこだわっているなどとは思いもしませんでした。しかも娘の気持ちを受け止めながら話をしているつもりでした。でも本当は心の中で「忘れたことはたいしたことない」と思っていたのでした。

 

結局取りには戻らず、お花の写真を撮って送ってもらおうということで一応の納得は得ましたが、私の後味は悪く、“子どもの気持ちに寄りそう”ことについて改めて考えることになった出来事でした。

こころのおはなしやさん

メンタルサポート研究所グループ こころのおはなしやさん 心理カウンセラー 栗原美香 公式サイト