先日、小学生のS君とお話をしていた時のことです。S君は時々「オ―」と声を出して私を見ては止め、また「オー」と声を出しては止めということを繰り返していました。
“大きな声を出したいのかな?”と思ったので「S君、大きい声を出したかったら出していいよ」といいました。そうするとS君はもの凄く大きな声で「ウオー」と全身を使って叫びました。まるでミュージカルで俳優さんたちが舞台から会場中に声が響くようにお腹の底から声を出すような姿でした。私が「凄いね、大きい声がでるね」と言うともう一回「ウオー」と叫んでスッキリしたような顔をしています。そうして1時間くらいの間に5回程大声で叫ぶということをしました。S君の中にあるもの凄いエネルギーです。
このS君の行動を見た時に私はふと思いました。子どもの中に発散できないエネルギーが溜まっているのではないのかと。S君一人のことですから全ての子どもに当てはまることではないと思います。しかし、少なくとも私の知っている範囲では大人達は子どものエネルギーを抑えよう抑えようとしているように見えます。
家の中では「走らないで、静かに歩いて」買い物のスーパーや電車の中では「静かにしなさい」と、とにかく子ども達に『静かにして、大人しくしなさい』ということを言い続けているような気がします。
今年の夏に子ども達と一緒に川遊びに行きました。他にも数組の親子が川に遊びに来ていました。一人の男の子が川の石を拾っては、ポチャンと川の中に投げて遊んでいました。お母さんであろう女性が「石を投げたらダメ、水が跳ねるでしょ」と注意していました。
「川に来たら、水の中に石を投げるのが楽しいんだけどな。私も子どもの頃よ石投げして遊んでいたな」となんだかその男の子の顔がショボンとしているように見えました。
子ども達にマナーやルールを教えることは大人の大切な役目です。なんでも許して欲しいと言っているわけではありません。ダメな事はダメと教えなければいけません。
でも大人達の行動を見ていると、マナーやルールを教えるという範囲を超えて『とにかく静かにしなさい、大人しくしなさい』と言っているように聞こえる時があります。
そして、そう言っている時の大人達の心の中の本心は「周りの人から文句言われたらどうするの、謝るのは私なんだよ」と人から注意されたり、そのことを謝ることに不安を抱えているのではないかと思うのです。自分達の不安を減らすために子どもに『静かにしなさい』そう言っているように見えるのです。これでは子どものエネルギーは外に出ません。この子どものこころや体の中にこもったエネルギーは、出てはいけない所で、間違ったところで出てしまいます。
スポーツや好きなことで発散することも一つの方法でしょう。でも、もっと日常で生活の中で私たち大人は寛容に子ども達がエネルギーを自然に出せる環境を作ることが大切なのではないかなと思うのです。
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