前回は「子どものタイプと接し方研修」のことを少し紹介いたしました。この講座を通してお母さん達は子どもと向き合うことはもちろんですが、なによりもご自分と向き合う時間が増えます。
例えば〈信念型〉というタイプのお子さんがいます。こだわりが強く、順番や方法、使う物やする人などそれが変わることをとても嫌がります。なにかを行動するのもとても慎重で新しい場所や人にはすぐに打ち解けることが苦手で、始めはなかなかお母さんから離れようとしないということがあります。実は信念型のタイプの方のこころの中は不安がいっぱいで、順番や方法を変えないことで、同じ物を使ったり同じ人が使うことで安心感を得ようとしています。順番や方法を変えたり、使う物や人が違うととても危険を感じて不安になるのです。新しい人や場所になかなか慣れないもの、自分にとって安全な人か、安全な場所か確認が出来るまでは不安を抱えています。どんなに「お母さんが見ているから大丈夫よ」「もう3回目でしょ、会ったことのあるお友達がいるから行ってきなさい」と言っても、自分が本当に安心を確認できるまでは行こうとはしなかったり、嫌がったりします。信念型の息子さんをもつあるお母さんは「息子がやっていることの意味が初めてわかりました。不安でいっぱいだったんですね、こだわることをわがままだと思っていました」と言われました。そして次の時に「息子がこだわっている時に、そのこだわりを受け入れてみたらいつもは必ずグズグズいう息子が“わかった”といって機嫌が良かったんです。そしたら主人も機嫌が良くなったんです」と大変喜んでいました。もちろん「やってみたけど上手くいかなかった」という場合もありますから、その時はまた一緒に対応のやり方を考えます。
そうしながらお子さんと向き合っていくのですが、多くのお母さんが仰ることがあります。それは「自分が落ち着いている時や機嫌のいい時はタイプに合わせて対応が出来るけど、イライラしている時はそれが難しいし出来ない」ということです。お母さんだって人間ですからイライラしたり、いつも機嫌のいい時ばかりではありません。でもお母さん達はそういう自分のことをダメだと思っているし、イライラしないで子どもと向き合いたいとも思っています。ここで大事なことは「お子さんのタイプに合わせたいという気持ちはとても大切だけど、お母さんの気持ちを大切にしてあげることが一番大事」ということです。お母さん達は子どものことを思いすぎて、自分のこと(気持ち)を少し後回しにしているようです。ですからゆっくりとお話を聞きながら、お母さんが自分の気持ちを大切にすることのお話をして行きます。そしてどうやったら自分の気持ちを楽にできるかを一緒に考えます。
「子どもはお母さんの笑顔が大好き」です。でも、お母さんだって笑えない時もあります。泣きたい時だって、怒りたい時だって、不安に感じる時だって、イライラして鬼のような顔になる時だってあります。当然です。「そういうときもあるよね。よくやってるね、立派だよ」そうお母さんは自分を自分で褒めてあげてください。大切なのは、お母さんの気持ちが楽になることです。
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